大腸内視鏡挿入法のヒント④ 多様な操作を次々に繰り出そう

大腸内視鏡挿入法上達のヒントとして、多彩な操作を次々に絶え間なく繰り出すことの有用性を本ページでは説明する。

以下、『理屈コネ太郎』の管見による私見なので、その旨を銘記して読み進めて欲しい。

下部消化管内視鏡挿入の要諦は、多彩な操作を積極的に次々と繰り出して難局を乗り越え続ける事である。

戦略・戦術なく同じ操作を繰り返すのは極めて宜しくない。勿論、ある意図と確信をもって同じ操作を繰り返す場合もあるけれど、そうでなければ同じ操作を繰り返すのは意味がない。

ある操作で事態が進展しなければ、すぐに別の操作に切りかえよう。

ここで言う操作とは、プッシュ、プル、ジグリング、上下左右のアングル、スコープ軸を捻じる、スコープ軸をローテイトさせる、送気する、吸引する、送水する、スコープ硬度を変更する、左手操作部も含めた体外スコープを操作する、体位変換する、用手圧迫する…と多彩である。

こうした操作を、時に単独で、時に組み合わせて、次から次へと繰り出す事が初心者にはとても大切。

とにかく、今やっている操作で上手くいかなかったら、別の操作にすぐに変更すること。

それでうまくいかなかったら、また別の操作に変更する。それでダメならまたすぐに別の操作に変更する。その繰り返し。

こうして絶えずそれまでとは違う操作を繰り出して眼前の難局を乗り越えていくことがまずは初心者が目指すべき挿入法だと思う。

指導医から与えられた時間の範囲内で、自分が思いつくありとあらゆる操作を出し切ろう。

可能なら、検査前にこういう時はこうしよう、それがダメなら次なコレ、それでもダメなら次はコレと、ある程度の合理性をもったシミュレーションをしておくとよい。

『理屈コネ太郎』は、もし患者の腹部骨盤のCTがあれば、必ずS-Topの位置を確認して挿入のシミュレーションをするようにしている。。

下部消化管内視鏡検査において戦術的思考なしに同じ操作を繰り返すことは検査成功率を下げるだけである。

既述したが、同じ操作を繰り返すのは、その操作で難局が乗り切れるとある程度の確信が持てて、かつその操作の難易度が高くて空振りしてしまう場合くらい。

とにかく、今おこなっている操作でダメなときは同じ操作をしても意味がない。スパッと違う操作に変更して状況に変化を作り出す必要がある事を覚えておいてね。

そして検査が終わったあとに、検査前に立てたシミュレーションの何がよくなかったのか自分なりに言語化して記録しておこう。

そうすれば、遠からず自分なりの盲腸到達パターンが見えててくるはず。

ここで一点注意を促したい。スコープが肛門より50㎝以上挿入されているのに、SDJを超えている確信が持てなかったら、S/Cをややこしい形に伸長させている可能性があるので直腸まで戻ってやり直した方がいいかも知れない。

今回は以上。

他のコンテンツにも興味があったら下記よりどうぞ。
『若き医師達・医学生達への伝言』へは”ココ”をクリック
当サイト内『コンテンツのページ』へは”ココ”をクリック

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です